写真:森本美絵 ©Mie Morimoto

  1. 児島やよい

    「キッズアートあおもり」の時は、私も青森に行っていたんですよ。かれこれ6年前ですね。その時、初めて奈良さんはA to Z展の会場になった吉井酒造煉瓦倉庫に足を踏み入れたんですけど、オーナーの吉井さんや立木さん達と一緒に私も同行させていただいたんです。A to Z展は、本当に奈良美智でないとできない、そして弘前でないとできない展覧会ですよね。

  2. 山田スイッチ

    地元ならではのよさってありますね。たとえば実行委員の中に不動産業に携わる人がいるから、スタッフがマンションに何ヶ月も泊まれたりとか。普通だったらありえない。街づくりの専門家が商店街と協力してフラッグとか、フリーペーパーを出す方法を考えたりするんです。そうやって関わる人みんなが、奈良さんを好きで、応援したいと思ってる。なによりすごいのは、実際にボランティアの作業に自分が参加すると、全員が同じ気持ちでいることがわかるんですよ。関わり方はそれぞれ違っていて、俺はねぷたが好きだからねぷたの企画をやるって言う人もいるし、私はフリーペーパーでいくよって、皆ジャンルごとに「俺が一番だ」と思って頑張ってて、それが全部、叶っていくんですよ。ねぷたなんて、30万人見に来るイベントに30個も奈良ねぷたが通ったから、すごい宣伝になったと思いますもん。

  3. 児島やよい

    展示だけとっても、いくら観ても全部は観切れない気がする。やっぱり5ヶ月かけてつくっただけあるというか、それだけのものを十分に体験するのには、1日や2日では無理だなって思いました。だから、わかったような記事を書くんじゃなくて、その「全貌の掴めなさ」も一緒に伝えたいと思いましたね。

  4. 山田スイッチ

    私、ボランティアで関わるとチューニングを合わせないと見に行けないんですよ。子どもを連れて見た時と、一人で見た時ももちろん違うし。2005年の展覧会の時は、出産が重なったので、落ちついてから一人で見に行ったんです。事前に何も見ないでまっさらな気持ちで見るのと、ずっと過程を見ながら見るのとでは全然違っていて。それで集中するためのチューニングが必要になってくるんです。2002年の時も、ずっとボランティアで看視の巡回をしていて、お金を払ってお客さんとして見るのとなんて違うんだろう、と思いました。

  5. 児島やよい

    どちらの状態で見るのが好きですか?

  6. 山田スイッチ

    実は、それは児島さんにも聞きたかったんですが、私は孤独な状態でないと美術は見られないんです。映画もそうなんですが、ものすごく孤独な状態で見時に入ってくるものって、すごいんです。うわーって、全部持っていかれちゃうんです。何でだろう。

  7. 児島やよい

    制作のプロセスを人と共有することも含めてA to Zだから、制作の延長線上で見たほうがリアルに感じられませんか?

  8. 山田スイッチ

    小屋が40も建ってるじゃないですか。実は、それが建つたびにものすごい感動しているんです。奈良さんと豊嶋さんがよく言う、「完璧にしてしまわない状態」がすごいリアルで、一回ペンキを塗って廃材の強さを殺して、そこに奈良さんの作品を入れて生命を吹き込むというのは、すごい話ですよね? 私はそういう工程を見てきちゃっているから……。

  9. 児島やよい

    そうねえ。そもそもボランティアを募集したり、協賛金を募ったりと、参加を呼びかけてるプロジェクトだから、その人その人の関わり方に応じて感じたらいいんじゃないのかな。スイッチさんのように小屋が建つ瞬間をいっぱい見られたラッキーな人は、それはそれで贅沢な体験をできるんだろうし、でもパッと子どもを連れて遊びに行った人でもそれはそれで楽しいだろうし、いろんな関わり方があるのもAtoZらしさだと思いますよ。

  10. 山田スイッチ

    そうかもしれないですね。私は小屋が建つたびにうわーって、好きな人に初めて会った時のような感動を覚えてたから、それを味わい尽くしちゃって、しばらくしてまた好きな人に会って、という感じかも(笑)。

  11. 児島やよい

    師匠(スイッチさんの愛息の愛称)はなにに一番反応しましたか?

  12. 山田スイッチ

    台北ハウスの床下のクルクル回る彫刻と、DOORSの座ってる小さい彫刻ですね。奈良さんの作品は各所に犬がいるから助かってる。「ほらワンワンだよ」って(笑)。

  13. 児島やよい

    うちの子はヤノベ小屋の彫刻を見て、「象さんこわい」って言ってました。でも、川内倫子さんの綺麗な写真を喜んで見てた。ちょっと飽きて泣いてたのが、川内テントに来て持ち直して、S小屋の椅子に座って喜ぶ、みたいな感じ(笑)。

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