写真:森本美絵 ©Mie Morimoto

  1. 岡田裕子

    こどもの絵とか文章とか見たり読んだりするの、おもしろいですよ。7歳くらいになるとみんな絵も文も書ける。作文とか笑っちゃいますよ。寅次郎は遠足の思い出を「地獄穴に落ちた、一時間後にやっと発見された」って書いたら突き返されて、先生のコメントが「穴なんてなかったよね?」。なんかそういう遊びを近くの子としてたんだって言ってましたけど、みんなで行った遠足だから、みんなもわかるようなことを書いたらどう?って言ったら、「わかった」って、「みんなで遠足に行ってカゴメカゴメをしました。友だちの輪ができました」ってすらすら書いて、おまえそれウソついてないか(笑)って。「楽しかったとかって書いたほうがいいのかな、作文って(笑)」とか自分で言ってるし。こっちも口には出さないけど(前の文章の方がおもしろかったな・・・)って思ったり。
     朝顔の種をまいて育てていて、観察日記を書いてるんですけど、それもまた返されてきて。「朝顔の蔓が出てきたので棒を立てました。他には何も発見できませんでした。たいへん申し訳ございません」。笑っちゃったんですけど、書き直し。その後は「葉の裏側がざらざらとしていてふしぎな手触りでした」ってちゃんと書いてました。申し訳ございませんって何だよって思いますよね。卑屈な気持ちなのかな。
     寅次郎のともだちに、おもしろい絵を描く子がいるんです。今、マンガの真似みたいな絵を描く子が多いんだけど、その子は色もあんまり使わずに、人の輪郭からちゃんと描いてる。粗いタッチだから、印象派の巨匠のデッサンとかエスキースみたいなの。横向きで走ってる人を描いたり、それもすごく正確に捉えてて、視覚的な捉え方がちょっと違う。あの子の絵おもしろいねって寅次郎に言ったら、「あー、ヘンな絵を描くってみんなに言われてんだよ」って。「ヘンじゃなくてすごいよ」って。もともと持って生まれた捉え方みたいなのが出てるんですね。マンガの世界を飛び越えていきなり絵画の世界に入っちゃったような。そういうの見たりすると興味深いですね。

  2. 児島やよい

    なかなか深いですねえ。こどものワークショップとか、してみたいですか?

  3. 岡田裕子

    まだこども向けのワークショップはやったことないですね。対象が大学生だったり、二次的に関わったことはあるけど。でも、前はとてもじゃないけどできないって思ったけど、最近はできるかもって思います。
     この間、息子もご面倒ばかりかけてるので、何か学校に貢献したほうがいいかなって、朗読委員になったんですよ。息子が特別支援教室にもお世話になっていて、初日はそこの教室に行ったのですが、絵本選びに苦労しました。1年生から6年生まで居るクラスなのでレベルに悩んで・・・。で、私が昔幼稚園で受けた授業で印象に残ってるイメージトレーニングみたいなワークショップがあって、それに似た絵本をみつけたので読んでみました。「へんしんへんしん、めをつむってごらん」でテーブルの脚になってみようよ、とか、おじいさんになってみよう、っていうのね。イメージを膨らませて、動物になったり、物になったりする。そしたら一人、ほんとに寝ちゃった子がいて,その世界にほんとに入り込んじゃったみたいで、ちょっとやり過ぎたかなと思ったけどおもしろかった。その子もちょっと変わった子だからこそ特別支援教室に居るんだろうけど、逆にすごいイメージ力な気がする。
     でも自分の息子だけじゃなくてこどもはみんな宇宙人みたいだなって笑えます。まだ性格とか安定してないし、突拍子もないことやったり、言ったりする子沢山います。年を重ねて、だんだんキャラが見えてくるし。
     息子さん、しゃべれるようになっておもしろいでしょう?

  4. 児島やよい

    そうですね、驚くようなことを突然言ったりします。私がPCに向かってると、電気付けたり消したりするから、見えないじゃない、って言ったら「僕はママのことちゃんと見えてるよ」とか。私が考え事しながら相手してたら急に泣き出して、「ママはここにいたけどいなかった」とか。ドキッとします。

  5. 岡田裕子

    いやんかわいい。おもしろいですね。

  6. 児島やよい

    でも保育園で、今までは乳児だったのが幼児組になって、4、5歳の子たちと大部屋で一緒だからたちまち影響を受けていて、今まで「ママ、○○でちょ、RQは○○でちゅ」ってかわいく言ってたのにいきなり「○○だろ」って、おーって驚く。「○○かよ」「俺はみてねーよ」とか。それでも赤ちゃん言葉と混じってるから妙にかわいいんです。最近、急にゲキレンジャーになりたいとかゴーオンジャーのポーズとか一生懸命練習してて、でもテレビで見たこと一度もないのにね。黄色が好きなブルーになりたいの、って、それどういうことなんだろう。

  7. 岡田裕子

    色が好きなの?絵を描くのも?

  8. 児島やよい

    あ、色はけっこう好きだけど、自分で絵を描くのは殴り描きで、一緒にいるとすぐ、ママ車描いて、って描かせたがる。それも、はしご車とポンプ車となんとかと描き分けろとか。面倒くさくて「パパに描いてもらいなよ、パパのほうが上手だよ」って投げちゃうんですけど(笑)。工作系とか、壊れたのを直すのとかも、パパが上手だから、やってもらおうねって言うと、パパいつ帰ってくる?って心待ちにしてて、帰ってくると「パパー!」て飛びついて。そうやって仕向けて、パパと遊ぶ時間が増えるようにはしてますね。

  9. 岡田裕子

    父が好きなことで任せるって、すごく良いと思う。何もかもやってもらうことはできないから。会田さんはぬか漬けを漬けたりするのが好きなんです(笑)。出張中にも電話かかってきて、ぬか床は無事か、って。あと工具が必要な系とかは私もやってもらっちゃう。無理のないところで、本人の得意分野で家庭に貢献してもらうというか。

  10. 児島やよい

    そうそう、パパすごいねー、って、なるべく立てるようにしてます。
     寅次郎くんは絵を描くの好きですか?

  11. 岡田裕子

    それが全然描かなかったんですよ。今は図工の時間が大好きみたいだけど、3歳くらいの時かな、保育園の先生に、寅次郎くんは全然、絵を描いてくれないんですよって言われたの。その頃からボイコット精神が生まれたのか?絵が下手だから描きたくないって思うのか思って、私、作家にあるまじきアドバイスをしたんです。「顔なんてさ、○の中に点を2つ描けば目になるし、Uの字を書いたら口になるよ」って言ったら、なんとかそれで人間くらいは描けるようになったんですけど。今でもその延長線上。でも何か書くのは好きなんです。一心不乱に書いてますね。表とか・・・コンピュータのシステムをマップみたいに書いたり・・・なんか変なヤツです。でも楽しいんだったらいいか、ってほっといてますが。最近、学校の自由帳を見たら宇宙の始まりから終わりみたいな、図鑑に描いてあるような絵を描いてましたね。宇宙が膨張している絵。宇宙が好きみたいね。

  12. 児島やよい

    お父さんの絵を見てコメントすることは?

  13. 岡田裕子

    父のは、「滝の絵」が好きみたい・・・。あと、去年かな、岡本太郎展に一緒に行ったら大受けしてました。岡本太郎さんのペインティングがツボにハマったようで、ゲラゲラ笑ってた。アート作品に興味があるという意味では影響を受けてることあるんじゃないですかね。彼は、作品ていうのが貴重なものと理解してて、昔から絶対に触ることはしないんです。だから放置しててもイタズラしない。それだけはやっちゃいけないってわかってるみたい。お父さんの作品がすごいとか感じてるのかな、っと思ったのは「僕は上手に絵が描けないもん」って言ってた時かな。お父さんに対するコンプレックスというか、このぐらい描けないとダメって思ってたのかな。それが保育園で絵を描かない時期と一致しますね。

  14. 児島やよい

    お父さん、お母さんがつくっている作品というのがどういうものか、すごく鋭敏に感じ取ってるんですね、きっと。こどもって一生懸命自分で感じたり考えたりしてるんですよね。

  15. 岡田裕子

    ほんとにそう思いますね。でもあんまり強制してもいけないし、自分でもいろいろ対応を考えてあげなきゃなって思うことがしばしばあって、こどもだと思って押さえつけたらかわいそうだし、逆にほんとによく喋るんで、つい大人みたいに思って受け答えしたりアドバイスしたりしちゃうんだけど、ものすごく高いものをこの子に要求しちゃってるのかなって、まだ心の中がそこまで育ってないのかな、いくら喋れて、わかってるように思えてもこどもなんだな、って。それが最近になってよくわかってきたんです。まだ小っちゃいんだなって、理解してあげなきゃいけない。ちょっと大人びたところがあったから、この子はこういうことわかるだろう、みたいに誤解しちゃかわいそうだったなって。 まあ、ちゃんと大人になれればいいんですよ。

  16. 児島やよい

    寅次郎くんがのびのびできる環境が学校にあるといいですね。

  17. 岡田裕子

    でも、彼はほんとに手を焼かせたり笑ったりふざけたり怒ったり考えたり毎日してるなって、なんかすごく生きてるな、エネルギー120パーセントくらい全開させてるな、って思うんです。小っちゃいことにも全力でね。寅ちゃんを見ながら、「お前、生きてるなー」「生きてるねー」って、会田さんとも言い合うんですよ。

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