写真:森本美絵 ©Mie Morimoto

  1. 児島やよい

    寅次郎くん、一年生になってどうですか?

  2. 岡田裕子

    大変です!とにかく人と足並み揃えるのが本当にダメみたいなんですよ。でもバカではないとおもうんですけど・・・、自分の息子ながらなんですけど。

  3. 児島やよい

    だって、ブログに載せていた地震の歌、自作自演なんですよね?すごい才能ですよ!決してバカじゃないです。

  4. 岡田裕子

    自分で勝手にフリーの音楽ソフトとか映像ソフトとかダウンロードして使ってるんです!私の知らない間に膨大な数の作品をつくって・・・。私の仕事中、なんとなく映像の編集とかを見てて、ソフトってこうやって動かすんだなって覚えたみたいなんですね。口も達者で、私からしてみると色々とおもしろい子なんだけど、集団行動や授業の一斉指導が本当に苦手で。幼稚園の頃も、「君たちさ、将来についてどう思ってるの?」って突然言い出して、幼児はみんなポカンとしちゃった。先生が「みんな、サッカー選手とかアイドルになりたいって図工で絵を描いたじゃない」ってフォローしても「けっ、アイドルなんかなあ、宝くじに当たるような確率だろ」って言ったって、あとから怒られました。でも親がそういうこと吹き込んだりしてるわけじゃないんですよ。
     それでも、幼稚園の先生は困りながらも可愛がってくれたんです。卒園式では「寅ちゃん、小学校がんばろうね」って泣いてくれて・・・。それが小学校入ったら…大変です。いまにして知ったのですが、「訓練の場」なんですよ、授業参観で見たら、きちっと並んで前を向いて、本はここ、鉛筆はここって決まってて言われた以上も以下もしちゃいけない、先生に言われた指示通りにするのが絶対的なこと。その統率感が「あ、ここはアジアなんだ、こどもは社会の軍隊予備軍なんだ」って感じました。それが悪いことではないとは思うんですけど、うちの子には本当に合ってなかったみたいで、とにかく苦痛らしく・・・。家庭では明るいし表情の豊かな子なんですけどね、学校では荒れてしまいました。そういえばその授業参観見てた会田さんの方が「ダメだ、ここにいると俺、叫び出しそうだ」ってソワソワして、5分と教室にいられなかった。だからああ、父の遺伝だなって。

  5. 児島やよい

    こどもって、自分の鏡を見てるような気になる時ありません?うちもマイペースって言われて、マイペースじゃないこどもなんているか、って思ったけど、よく考えたら自分がマイペース(笑)。

  6. 岡田裕子

    人間は環境で変わる、性格は形成されていくものと思ってたんだけど、こども生んだら、性格はそれぞれが持って生まれたものなんだなって思いました。それも両親のものをそれぞれ、いい具合に受け継いでね。寅次郎は一人で居るのも好きなマイペース派でもあって、そこは私の一人遊び好きが遺伝したかな。だから自分は美術が好きなんだと思うんだけど。私、小さい頃は独りで校庭で遊んでて、友達に「寂しいね、一緒に遊んであげるよ。」っていわれちゃうんですよね。でも独りが好きだったので、最初はおせっかいな子だなウザいって思ってたけど・・・。でも小学校1年の時、ヤバい、このままだと友だちが少なくて暗い人生を歩むんじゃないかって急に思い直して、キャラのチャンネルを変えたんです。「明るい子」を目指しました。その時の事ははっきり覚えてる。
     寅ちゃんも、日常のコミニュケーションはそんなに極端に自閉的ではないんですが、無理になにかをみんなで一緒にやろう、っていう感じで言われると辛いんでしょうね。エキセントリックさは会田家の血かなあ。みんなのものを与えられて生まれたのね、と思います。
     いいところもいっぱい持ってる子なので、もし何か間違っちゃうとしたら、あんまり周りの都合を強要したら歪んじゃうかな、もう少し自由な気持ちで過ごせる時間を増やしてあげたいなと思いますね。こどもながらすごく孤独感があるみたいで、何か自分はハズレ者、みたいに思ってるのか、学校ではやさぐれちゃってる。明るい気持ちで毎日を過ごせたらと思うのですが・・・基本的には明るい子なので。

  7. 児島やよい

    うーん、大変ですね…。寅ちゃんは、ご両親の仕事に興味はある?

  8. 岡田裕子

    私が仕事してることは嬉しいみたいですよ。お母さんの自慢をいつもしてるんですよ、って幼稚園の先生に言われました。こどもを連れて出張に行ったりとか、これプリントアウトするの手伝って、とか、本当はほったらかしにもできないので、苦肉の策で「お仕事手伝って」とか言ってやらせてるのが本心ですが、彼は手伝いを楽しんでるみたい。「次の新作はどうするの、続編がいいと思うな」なんて口挟んできたりしておもしろいです。
     でも私も、最近、あまりにも息子が学校で大変な様子なので、すごく落ち込んで、もっと息子に集中してあげなきゃいけない、これは自分が仕事してる場合じゃないかな、と思ったりしたんです。そしたら会田さんにそういうの良くない、って言われまして。会田さんの母も子育てのために学校の先生の仕事を辞めたんですが、会田さんが親に手を焼かせる息子だったうちはそれで忙しかったからむしろ良かったらしいんだけど、中学生ぐらいになって落ち着いたら抜け殻のようになってしまったそうで。それが息子心にもすごく嫌だった、と。だから私が息子のためにライフワークを失うのは、長い目で見たら絶対彼のために良くない、と言うんです。そうかもしれないなと思って。地道にね、無理してではなく、やっていこうかなと。

  9. 児島やよい

    でも、寅ちゃんが帰ってくる時間までに家にいなきゃ、とか、仕事と両立させるには、保育園の時とはまた違う苦労がありそうですね。

  10. 岡田裕子

    ちょっと今、ナーバスになってるから、落ち着くまではそうしてあげようかなって。自分が忙しい時は若いスタッフに子育て協力してもらえる時もあるので、その辺はすごい助かって、心強いなと思ってます。なぜか彼は大人とは流暢にコミュニケーションが取れるタイプで、若者達も愛着が沸いちゃったみたいで、みんなが寅次郎の保護者みたいな気分みたいで、親のように心配してくれてたり。あいつ小学校で大丈夫か、って。

  11. 児島やよい

    自分を認めてくれる大人がたくさんいる実感をするほうがいいって言いますよね。

  12. 岡田裕子

    いや、今までまわりにそういう大人がいっぱいい過ぎたから、他でマイナスなこともあるかなという気もします。家庭では周囲と自分はツーカーだけど、学校ではそうではないし。でも愛してくれる人がいっぱいいるってありがたいことですよね。そういう意味では幸せな子だね、って思ってます。

  13. 児島やよい

    まだちょっと先ですけど、うちも不安なんですよ、小学校。マイペースだし、集団行動苦手っぽいし。

  14. 岡田裕子

    学校で落ち着きがない子も、先生との相性次第ではわりと普通にやっていける場合もあるみたいだけど。自由度を多少持ってくれる先生もいるみたいだし。でもみんなと整然と動きつつ、それでいて生き生き楽しくしなさいっていう場だから、こどもによっては限界もあるでしょうね。

  15. 児島やよい

    なにしろ、自分自身の小学校の頃と環境がまったく変わっちゃってるから、自分の経験が当てはまらないでしょう。それが不安で。

  16. 岡田裕子

    私は幼稚園から私立だったんです。比べるものでもないんだけど、公立との雰囲気の差はあった。雰囲気が鷹揚というかテキトウだったというか。とんでもなく学力が不振の子とか暴れてる子とかは居ないという前提の集団だからかもしれないけど、大抵の事はそれぞれの子におまかせモード。教科書も持って帰ろうがロッカーに入れっ放しにしようがどちらでもオッケー。今の小学校見てたら、机の中に何冊本を入れるか、今机の上に何を出すか、って全部決まってるんです。ノートは机の中にしまって、次のノート机の右端において、今鉛筆箱を開けちゃダメ、って。はい帽子をかぶって、はい来て、はい並んで、みたいに一斉の行動が日常のほとんどです。それで、次第に寅次郎君は爆発しちゃうみたい。「もういやだ!」って。そういうことが一つ一つ苦痛なコもいるんだなって、息子を見てると思います。

  17. 児島やよい

    えーっ、うちの子、僕ロボットじゃないもんって言う子だから、絶対無理ですねー。

  18. 岡田裕子

    保育園の頃、「光化学スモッグだから今日は早くお家に帰りましょ」、って言われたら、「先生、光化学スモッグはどうやったら発生するんですか」って、先生が一瞬黙っちゃった。でもあとから先生に「面白いね」とも言われました。逆に小学校はそんな、容易に質問もしちゃいけない場所なんですよ。

  19. 児島やよい

    でも、「なぜ、どうして?」がこどもを成長させるって言いますよね。

  20. 岡田裕子

    40人近く児童が居る中で先生は一人だけだから、踏み込んだことを対応する時間も余裕も無いんじゃないでしょうか。それより、規律正しく、効率よく大勢に指導して行く事が最重要課題なんでしょう。でもそういうことに馴染めない子が最近増えてるみたいだから、せめて学校のカラーとか指導法に幅があったらいいのにな、とか感じます。不登校の子が何万人もいるっていうのは、本人達だけを攻められない気がするんです。私も寅ちゃんに最初は、もっとがんばりなよ、みたいに叱ってかわいそうなことをした。小さい子はそんなに自分のことコントロールできないんだし、大人の都合で枠にはめ過ぎかな、とか反省したり。

  21. 児島やよい

    個性尊重ってお題目では言うけど全然そうなってないわけね。ほんとうに、日本の教育行政なんとかしなきゃいけないですね。

  22. 岡田裕子

    もっとこどもにとって、勉強の仕方とか、大人になる過程の選択肢が広ければいいと思うんですよね。これからそうなっていくんじゃないかな、なったらいいなと思います。でも日本でそうなるのは本当に先のことかなあ。フリースクールとかホームスクリーングとかも増えてるみたいだけど、公には認められてませんからね。
     私、公立に放り込まれたら絶対にいじめの対象になってたよって言われるんですよ。私はのんびり私立で、個性派ってことで大抵の事は許されてて、ペットのように可愛がられてたからなー。妙にアットホームで、ヘンな奴もアリな雰囲気が漂ってました。っていうか変わったコ多かったかも。親もいろんな仕事してる人がいたし。思春期の制服は、私は良かったなと思ってた。金持ちの子もいたから、私服だったらすごい貧富の差が出たよなって。うちはサラリーマンの家庭で財布の紐が硬かったから、服もほとんど買ってもらえなかった。あとは、女子校だけど理数系に行く子も結構多かったり、わたしも迷わずアート系に進んだり、自然と個々の選択肢が広かった気がします。

  23. 児島やよい

    私も、中高は私立の女子高だったからわかります。私服でしたけど(笑)とにかくのびのびしてましたね。で、女子しかいないので「それは男の人にしてもらうこと」っていう概念がなかったから、なんでも自分たちでしてましたよね。予備校に行ったら教室に男子がいる!ってカルチャーショックでした。

  24. 岡田裕子

    確かにそれ、ありました。予備校で初めての共学を経験して、ドアとか開けてもらったり重いもの持ってくれたり、これが男なんだ!って。でも女子校出た人って社会に出てから苦労する人が多いかも。男にも苦労するし。世間知らず。

  25. 児島やよい

    うーん、確かに…。でも私立に行けるかどうかって、やっぱり格差社会が反映されてきますね。考えちゃうな。

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