写真:森本美絵 ©Mie Morimoto

  1. 児島やよい

    八谷さんは、お子さんが生まれたのは、自然の流れだったんですか? 小沢剛さんは、9.11をニューヨークで経験して、とにかくつくろうと思ったって言っていたけれど。

  2. 八谷和彦

    奥さんが同い歳で、もうそろそろつくっておかないとという感じ。「よし、つくろう」とは思ってなかったですね。でも、日本の社会に希望が少ない感じがするのは、子どもが少ないからなんじゃないかという気はします。子どもはやっぱり、未来や希望の象徴だから。

  3. 児島やよい

    実際、子どものことを考えると視点が大きく変わりますしね。

  4. 八谷和彦

    弱者がすぐそばにいるから、たとえば駅にベビーカーで行けるエレベーターやエスカレーターがないことも気になってくる。車椅子の人はいつもこうなんだ、世の中にあるバリアがこんなに高かったんだって、今までは気づいてなかった。東京はこれでいいのか、と思ったり。

  5. 児島やよい

    子育てって親が成長するということ以前に、ほんとは私達は子どもによって生かされてるんじゃないかって突然気づいたことがあるんです。赤ちゃんや子どもって、物理的には無力だと思われてるけれども、実はすごい力をもっているから。

  6. 八谷和彦

    可愛さによってこっちを束縛してますよね。

  7. 児島やよい

    そのために、ああ何としても生きなきゃ、みたいな気にさせられる。そしてさらに、世の中を平和にしなきゃいけないって切実に思うようになった。

  8. 八谷和彦

    温暖化も、自分が死ぬまでだったら関係ないしとか思うけど、子どもがいると、大きくなった時のことを考える。やっぱり近くで見てるうちに、どこかから「守らなきゃ」という気持ちにさせる物質が分泌される。阪神大震災の時、小さい自分の子どものために生きようと思ったと誰かが言ってたんですけど、そういう「この子を守んなきゃ」みたいな生存欲求はすごい強く出てきた気がしますね。

  9. 児島やよい

    八谷さん、コロボックルの作品をおつくりになった話をされてましたけど、制作でも、子どもが喜ぶ部分は意識するようになりました?

  10. 八谷和彦

    そうですね。もともと、アートを知らなくてもおもしろいと思えるものを心がけてはいましたけど、子どもが触れられるように、子どもでもわかるようにつくろうっていう気持ちは今の方が強くありますね。ただ、作品って日記的なものだと思うんですよ。自分の考え方や環境が変わったら、つくるものは変わってくる。「オープンスカイ」も、飛行機をつくれる環境があって、体力的なこともあって、今やろうと思ったわけだし。子どもが生まれたからというよりも、生まれて環境や考え方が変わったから、今自然につくるとこうなりました、みたいな感じですかね。

  11. 児島やよい

    ヤノベケンジさんも子どもが生まれてから作品が変わりましたよね。

  12. 八谷和彦

    「トらやん」は僕、自分の子どもが生まれるまでピンときてなかったんですけど、子どもが生まれたらぐっときました。

  13. 児島やよい

    私も、「森の映画館」の映像で、おじいちゃんが孫に語りかけてるところには、涙します。

  14. 八谷和彦

    それまで自分自身のサバイバルだったのが、子どもを持つとお父ちゃんっていう、もうひとつこっちからの視線が加わってくるのがいいですね。

  15. 児島やよい

    自分の親との関係を再発見させてくれる。

  16. 八谷和彦

    そう考えると、今見れば、「スターウォーズ」ももっと違って見えると思うな。

  17. 児島やよい

    それはおもしろいですね。

  18. 八谷和彦

    子どもが生まれたアーティストばっかりの作品展を企画するとおもしろいと思いますよ。子どもに人気投票してもらって、子ども大賞作品を決めるとかね。

  19. 児島やよい

    それ、いいですね!企画したいです。

■近況メールインタビュー

  1. 児島やよい

    うちの子はもうすぐ4歳になるんですが、2歳の時とは違った自己主張が激しくなってきました。言葉もかなり覚えて大人みたいな言い回しをしたり、かと思えば、赤ちゃん言葉で甘えたり、思い通りにいかず、かんしゃくを起こして泣いたり。おもしろいけど、心を読んでるんじゃないかと思うほど、こちらの気持ちに即座に反応するので、気が抜けない感じです。一緒にいても、私が仕事のこととか考えてたら、突然おもらししたことがあって、「どうして、おしっこって言わなかったの?ママここにいたのに」って言ったら「ママはここにいたけど、いなかった」って言われて。「うわー、そうだった!」って、降参するしかないです(笑)。八谷さんのところは、幼稚園には入園されましたか?最近どんな感じですか?

  2. 八谷和彦

    今年の4月から幼稚園に行き始めました。会社への通り道に幼稚園があるので、だいたい僕が送っていって、妻が迎えに行く感じです。もともとかなり口が達者な方なのですが、最近は前にも増してしゃべるようになったのと、あとしゃべっているのを聞いてくれないと不満のようで、僕が妻と話していると「耳が痛い」とか言います(用法間違えている)。

  3. 児島やよい

    その後、八谷さんご自身には変化がありましたか?子育てと作品の関係は深まっていますか?

  4. 八谷和彦

    うーん。どうでしょうか?最近は海外の展覧会なども解禁したので、出張に行くと娘に会えなくて寂しい、とか思いますが、娘の方は案外平気そうでもあります。あと、展覧会に連れて行ったりすることもあるのですが、大人と作品を見る視点が微妙に違うのがおもしろいです。(暗いところは怖くてイヤ、とか)

  5. 児島やよい

    八谷さんの今後の展覧会など、活動予定を教えて下さい。

  6. 八谷和彦

    金沢で開催される「金沢アートプラットホーム2008」に参加予定です。初日の10/4は、金沢市民芸術村でM-02のゴム索によるテストフライトを行いますので、お近くの方はぜひどうぞ。

「八谷和彦─OpenSky 2.0」は、2006年12月15日?2007年3月11日、NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]/東京で開催されました。

2007年2月収録
写真=森本美絵
デザイン=中村アスカ(Luna-lab)
構成=宮村周子

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写真:児島やよい
展覧会にて
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