写真:森本美絵 ©Mie Morimoto

  1. 八谷和彦

    子育てをしていると、犬を飼っててよかったなって思いました。犬を飼った時点で、うんちやおしっこが身近なものになるから(笑)。いきなり子どものアレに直面すると、途方にくれますよね。赤ちゃんのうんちはそんなに臭くないけど、離乳食が始まるとすぐ臭くなってくるし。昔の人は偉かったなって思います。布のおむつを洗ってたわけですから。

  2. 児島やよい

    実家の母は、うちの旦那さんが平気でおむつ替えをしてるのを見て、「えらいわね」って言ってます。親の年代の男の人は、なんにもしなかったんですって。

  3. 八谷和彦

    女性を「産む機械」だって言った人がいたけど、あの人、子どもいないんですかね?もしいたとしても、子育ては手伝わなかったんでしょうね。生まれた後に大人のやるべき作業の多さは、子育てやってみて初めて実感しました。出産も、立ち会って初めてわかることがあると思うんです。周りから「ぎゃー」みたいな声が聞こえたりして、「うわ、こんな環境なんだ」ってわかる。昔は、おばあちゃんや姉妹が手伝ってくれる環境があったけれど、今は出産するとなると、旦那が手伝わないと大変ですよね。そりゃあ育児ノイローゼになるわ、みたいな。育児って、ひとりの人がカバーできる範囲を超えてると思うんです。そういう大変さを出産前はあまり想像していなかった。

  4. 児島やよい

    八谷さんは会社も経営されていますけど、わりあい育児に参加できる感じですか?

  5. 八谷和彦

    妻は専業主婦なんですけど、僕自身も今は仕事控えめの期間ですね。あと海外の展覧会を入れない、とか。アーティストは、比較的夫としておすすめな気がしますね。やっぱり、これはサラリーマンの人には辛いわって思いますもん。この日は接待があって帰れないとか、ゴルフとか、相当拘束されるでしょう。

  6. 児島やよい

    仕事はフレキシブルにできる環境なんですか?

  7. 八谷和彦

    出勤はしていましたけど、生まれて半年ぐらいは勤務時間を短くしていました。あとすごく助かったのは、当時僕の部下が、お弁当を作って社内で販売していたんですよ。料理を作るのが趣味の人で。それを晩ご飯用に毎日二つ買って、あと一品僕がスープとか作って。そういうことできる環境がよかったです。

  8. 児島やよい

    すばらしいですね。赤ちゃんがいると、忙しくて自分の食事も作れないですもの。それをわかってくれる夫ってすてき!

  9. 八谷和彦

    でも昔は、共同体のなかで、そういう助け合いが当たり前だったんじゃないのかな。産む前のほうが大変かと思うけれど、むしろ産んだ後のほうがよっぽど大変ですよね。とにかく産後一ヶ月ぐらいは、なるべく何もしないほうがいいって言われているぐらいだし。

  10. 児島やよい

    しょっちゅう授乳しなきゃいけないし、作る時間がないと言いつつ、母乳になると思うと自分の食べるものもちゃんとしなきゃ,って気になるし。

  11. 八谷和彦

    普通の会社だと、産休とれない会社もあって、本当に大変ですよ。

■ロボット工学に生かせるかも?

  1. 八谷和彦

    ただね、子育ては大変だけど、やっぱり一緒に参加したほうが断然おもしろいと思いますよ。動物が人間になる過程を見るこんな機会なんて、めったにないから。目が開いて、寝返りをうてるようになってハイハイし始めると、ようやく三次元を認識したりとか、テーブルの上にのせると、縁まで来るとちゃんと躊躇するから、「ああ、生まれつき高さという概念がわかってるんだな」ってわかったり。そんな実験もしてました。

  2. 児島やよい

    そのままロボット工学に応用できそうな話ですね。

  3. 八谷和彦

    僕、なぜ人はロボットをつくるのだろうって考えたことがあるんだけれど、ひとつには人間をつくりたいという願望で、もうひとつは人工的なコンピュータが感情をもつとしたら、それはロボットに搭載された時に初めてもつのではないかと思えるから。今の身体のないコンピュータでも人工知能はもてるけど、たとえば叩かれると痛いとか、落ちると痛いといった「人間的な」感情や感覚は、身体をもって行動して初めてでき上がるものだと思うんです。だって、そもそも痛いということがわからないと、痛いことをしてはいけないと、わからないじゃないですか。
    そうそう、あと、子どもの認識の能力もすごいと思いました。絵を見せて、これは誰?って聞くと、これはお父さんとか、けんちゃん、くまちゃんとかわかるんです。一見当たり前に見えるけど、抽象的な絵の象と写真の象が同一のものと分かっている。コンピュータにそれをやらせようとしたら、たぶんすごく難しいんでしょうけど。
    ほかにも子どもの、人間の顔に対する認識力ってすごくて、たとえば木目を見ても人の顔に見えるとか、お化けだと思っちゃう心っておもしろいなって思う。大人になるとそれはだんだんなくなっていくんだけれど、子どもは想像力が豊かで、特になんでも顔に見えている時期があると思うんですよね。

  4. 児島やよい

    子どもって、たとえば丸い形のなかに目と口があるだけで、じーっとよく見ますよね。

  5. 八谷和彦

    人の顔を見てニコッてするのが、人間の子どもが一番最初にできることなんですよ。やっぱり、不機嫌だったり泣いてばかりいる個体は、生きていけなかったんだろうなって思いますよね。

このページのトップへ戻る

写真:児島やよい
展覧会風景
Rerated Links

アートママ対談 エクストラ